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★わかっちゃいるんだが萌えてしまう厨設定★8厨め

43 2/2 :2006/12/02(土) 21:36:47 ID:74mYEmHY0
一方攻めは、受けが兄の恋人だったときから受けが好きだった。
理由はどうであれ、受けと一緒に暮らせるだけで幸せだった。
辛そうだった受けの表情がだんだんやわらかくなり、自分に笑顔を見せるようになるが、
これは兄貴へ向けられた笑顔なのだと自分を諌める。
自分は受けが立ち直るまでの役目だと自分に言い聞かせ、時が来れば身を引かなければと思っている。
それでも二人はそれぞれ別に暮らす決心がなかなかつかず、やがて他界した人の命日を迎える。

二人で墓参りした帰り、雪道をスリップした車が二人に突っ込んでくる。
悪夢の再来。攻めは受けを庇い、頭を強く打ち雪に真っ赤な鮮血が散る。
錯乱する受け。二度と味わいたくはないと思っていた感情に凍りつき、それでも
叫んでいる名前は他界した人の名前ではなく、それは攻めの名前。こんなにも愛していたのだと、
己の気持ちに愕然とし、再び失う恐怖に捕らわれる。

生死の境をさ迷い、それでも帰還した攻め。目覚めたとき、泣きはらした目で微笑む受けの顔が真っ先に目に入る。
「身代わりでもいいんだ、俺は受けさんのことが――だから絶対に死ねないと思った」
首を振る受け。最初は身代わりだったかもしれない。けれど、今はこんなにも攻め自身を愛している。
彼を忘れたわけじゃない。けれど、残されたものが不幸になって、彼は喜ぶはずはない。
彼の分まで、自分たちは幸福にならなければならない義務がある。
ゆっくりと、二人で歩いてゆこう。
軽く触れるだけの、けれど厳かな、初めての口づけ。

攻めが退院したら、まだムリだっていう受けの心配をよそに強引にがっちゅんしちゃえばいいよ。
受けの反応に攻めが兄貴の影を見つけて嫉妬したらいい。基本は幸せ、でもときどき不安。
それでも二人は確実に共に年月を重ねてゆくんだよ。


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